2024年4月24日

弁護士沙汰の交通事故 Part II

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面会してみると、私自身の怪我がたいしたことがないので、弁護士さん側の方から、「これをネタに、小遣い稼ぎしたいという発想なら、やめとくんだね。」というような、冷ややかな対応でした。でも事故の経緯と、相手から訴えられたら困るので、そのために相談しているということを、ゆっくり聞いてもらうと、弁護士さんからも、「そうか。それなら君が犠牲者側であることは理解できる。協力しよう。」と言ってもらえました。この弁護士事務所では、交通事故を専門としているとはいえ、外科手術が何度も必要になるような、大きな怪我をした人の救済を目的としているので、私のように、事故直後から自力で歩けるようなタイプの依頼は本来なら受け付けないそうなのだけど、私の状況に同情して、受け付けることにしてくれたようでした。

一般的に、こういった交通事故系の弁護士料金は完全報酬制で、相手の保健会社が最終的に支払うことに同意した額の3分の1を弁護士事務所がもらうとうもの。相談者側は一切支払いをしません。そんなこともあって、交通事故を飯のタネにするような輩が後を絶たないというサイドイフェクとはありますが、本当に救済を必要としている犠牲者にとってはありがたい制度です。

まず最初の弁護士さんからの指示は、MRIを撮ったり、背骨の専門医の診断を受けること。先述の通り、事故後の検査費用は100%保険でカバーされるので、フィジカルセラピーにも通い始めるように言われました。多少、右肩から指先までの神経の反応が悪くなっているなど、ちょっとした問題は見つかるも、それらは事故前からあってもおかしくないような、普通の生活をするのに大きな支障をきたさない問題にすぎないとのこと。それでもフィジカルセラピーに3ヶ月以上通った実績があれば、その通院記録を元に、ある程度の額の慰謝料のようなものがもらえるという説明を受けました。慰謝料のための通院というと、聞こえが悪いのですが、実際少し首や肩は痛かったので、セラピーで温めてもらったり、電流を流してもらったり、針治療を受けるのは気持ちがよかったです。

そうこうしてると、保険会社から別の医療機関へ行って診断を受けるようにとの指示が欠かれた手紙が届きました。これも一般的な流れのひとつ。事故直後、入院を続けているわけでもないのに、しばらく経っても保険を使い続けて通院している人には、保険会社が指定する機関で、「もうこの子には治療の必要はない。」という診断書を出させるのです。これがあれば、保険会社が、「この日以降の通院費用は、もう保険でカバーされません。」と宣言できるようになります。というわけで、事故発生から1ヶ月くらいで、車両保険側のサービスから外されることになりました。これを受けて弁護士側は、「この先は君次第だけど、自腹であと2、3週間通えば、ある程度の金額の慰謝料は入るから、トータルでマイナスにはならないよ。」と言って来ました。「もともと慰謝料のためにやっていることではないので、相手側が訴えて来ないことがはっきりしているなら、それで私は満足です。」と回答。というわけで、フィジカルセラピー通いも終了しました。

これでこの話は終わりだと思っていたのですが、更に1ヶ月くらいしてからまた弁護士事務所から留守電が。「君と事故を起こした人の保険会社が、あまり経験のないところだったので、訴訟をしなくても、示談で少しお金が取れたよ。$1500来たから、うちの弁護士が$500で、君に$1000のチェックを渡すから、事務所に取りに寄りなさい。」

これはびっくり。なんでも、私のケースの場合、実際に訴訟にしたら、相手に支払い義務が発生するような結果にはならないそうなのだけど、経験の浅い保険会社の場合、大きな問題になるかもしれないと焦って、$1500くらいなら示談に応じることがあるのだとか。この弁護士さんは、それをわかっていて、相手側が焦るような証拠(私が撮影した事故現場の写真や、十分ではないけど、ある程度揃っていた病院からの診断内容など)を送りつけだのだとか。大手の保険会社なら、この程度では負けようがないからと、丸無視で終わり。なんだか相手の足元を見たようで少し申し訳ないけど、でも信号無視で確実にあっちが悪いので、$1000くらいならいいよね。

というわけで、大金ではないものの、ちょっとした臨時収入を楽しんだのでした。